当院について BLOG
ブログ
Blog

【30代・女性】リンガル矯正(裏側矯正)で上顎前突・叢生・顎骨偏位の改善を目的とした症例解説

「出っ歯が気になる」「笑った時の歯の見え方に自信が持てない」とお悩みではありませんか?

本記事では、当院の患者様の精密検査結果(セファロ分析・グラモンズ分析)をもとに、リンガル矯正(裏側矯正)を用いた咬合改善アプローチを、2つの治療プランとあわせて解説します。


目次

  1. 初診時の主訴と患者様のお悩み
  2. 精密検査およびレントゲン・セファロ分析結果
  3. 診断結果と改善すべき問題点(Problem List)
  4. 治療計画(PLAN)とアプローチ
  5. 治療に伴うメリット・リスク・注意点

1. 初診時の主訴と患者様のお悩み

患者様は「出っ歯」および「笑った時の歯の見え方」を主訴に来院されました。
最近になって歯並びが気になり始めたとのことで、舌を突出させる癖もお持ちでした。母親も似た歯並びとのことで、遺伝的な要因も考えられます。

装置の見た目が気にならないリンガル矯正(裏側矯正)を強くご希望され、治療期間はなるべく短くしたいというご要望もいただきました。


2. 精密検査およびレントゲン・セファロ分析結果

治療計画を立案するため、顔貌写真、口内写真、パノラマレントゲン、および側方・正面セファロ(頭蓋測定)撮影を行いました。

項目分析・測定結果
患者情報30代・女性
骨格タイプSkeletal Class II(骨格性上下顎の前後的不調和)、High Angle(過分散顔面パターン)
噛み合わせ(咬合)右Angle ClassI・左Angle ClassI、正中不一致、歯の叢生(ガタガタ)
顔面・軟組織側貌はコンベックス、上唇・下唇ともに標準的な位置、ナゾラビアルアングルが標準より小さめ
顎骨の状態下顎骨の右側方偏位、咬合平面の傾斜(左下がり)
習癖・口腔機能舌突出癖、鼻閉傾向

📊 セファロ分析データ要約

  • ANB Angle: 4.3°(標準2.46° ⇒ 骨格性クラスII傾向)
  • SNA: 79.6°(標準的な上顎の前後的位置)
  • SNB: 75.3°(標準79.17° ⇒ 下顎がやや後退気味)
  • FMA: 29.2°(過分散型の顔面パターン)
  • Interincisal Angle: 116.4°(前歯間角度が前傾)
  • U1 to FH: 118.2°(標準的な上顎切歯の傾斜)
  • U1 to A-pog: 11.2mm(上顎前歯が前方に突出)
  • FMIA: 54.7°(下顎前歯が上顔面に対して前傾)
  • L1 to A-pog: 8.6mm(下顎前歯が前方に突出)
  • Upper molar to PtV: 15.6mm(上顎臼歯がやや後方位置)
  • Overjet/Overbite: 2.7mm/1.6mm(いずれも標準的な範囲)
  • Nasolabial angle: 79.2°(唇が前方に突き出た状態)
  • Upper lip/Lower lip to E-plane: 0.9mm/1.6mm(いずれも標準的な位置)

📊 グラモンズ分析(正面セファロ)

  • Menton deviation: 3.7mm(下顎オトガイ部の側方偏位)
  • 上顎歯列正中偏位: 0.9mm
  • 下顎歯列正中偏位: 1.3mm
  • Ag distance左右差: 7.7mm(右48.0mm/左40.2mm、下顎骨の非対称傾向)
  • 咬合平面のCanting: 4.5°
歯並び
ガタガタ
口ボコ

3. 診断結果と改善すべき問題点(Problem List)

分析の結果、本症例の主な課題は以下の項目に整理されました。

  1. 叢生: 歯のサイズと顎のスペース不足による歯列のガタガタ、前歯の前方位。
  2. 上顎前突: 上顎前歯の前方突出。
  3. 顎骨の偏位: 下顎骨の右側方偏位と、それに伴う咬合平面の傾斜(左下がり)。

4. 治療計画(PLAN)とアプローチ

装置の見た目が気にならないリンガル矯正(裏側矯正)をご希望されていたため、抜歯を併用した2つの治療プランをご提案しました。

PLAN1(moderate:標準プラン)

  • 主装置: ハーフリンガル(上下顎の一部を裏側装置とするハイブリッド型)
  • 補助装置: 顎間ゴム(Elastics)
  • 抜歯部位: 上下顎4番×4本
  • 想定治療期間: 2年
  • 保定期間: 2年以上
  • 特記事項: 口元の変化は比較的少ないプランですが、歯根吸収・歯肉退縮のリスクは低めです。

PLAN2(maximum:最大改善プラン)

  • 主装置: フルリンガル(上下顎とも裏側装置)
  • 補助装置: 顎間ゴム、アンカースクリュー、PLAS(歯槽骨形成促進を目的とした補助的処置)
  • 抜歯部位: 上下顎4番×4本
  • 想定治療期間: 3年
  • 保定期間: 2年以上
  • 特記事項: 口元の変化が大きく得られる一方、歯根吸収・歯肉退縮のリスクはやや高くなります。

いずれのプランも抜歯を伴うため、患者様のご希望される仕上がりの程度とリスクのバランスを踏まえてご選択いただいています。

歯列矯正
品川
矯正専門

5. 治療に伴うメリット・リスク・注意点

💡 治療による主なメリット

  • 叢生(ガタガタ)の解消による見た目の改善
  • 上顎前突の改善による口元のバランス向上

⚠️ 主なリスク・デメリット(説明と同意)

  • 抜歯に伴う変化: 便宜抜歯を行うため、抜歯後の隙間を矯正で閉じていく過程が必要です。
  • 口元の変化: 前突の改善に伴い、口元の突出感が変化します(プランにより変化の度合いが異なります)。
  • 顎骨の偏位の残存可能性: 症例の程度によっては、顎骨の偏位が完全には改善しきれない場合があります。
  • 歯肉退縮・歯根吸収: 歯を移動させる過程で、歯茎が下がったり歯の根がわずかに短くなるリスクがあります(プランにより程度が異なります)。
  • 歯髄壊死・顎関節症状: 噛み合わせの変化に伴い、一時的な違和感や顎の痛みが生じる場合があります。
  • 補綴物不適合: 既存の補綴物がある場合、噛み合わせの変化に伴い調整が必要になることがあります。
  • 保定の重要性: 治療後の後戻りを防ぐため、リテーナーの規定時間通りの着用が不可欠です。

品川矯正歯科からのメッセージ

上顎前突や叢生、顎骨の偏位は、見た目だけでなく舌の使い方(舌突出癖)や鼻の通りの状態とも関係していることが少なくありません。精密検査で骨格・歯列の状態を丁寧に把握したうえで、装置の見た目や治療期間、リスクとメリットのバランスを含めた複数の治療プランをご提案しています。

歯並びや噛み合わせで気になる方は、ぜひ一度当院の無料カウンセリングにお越しください。

監修歯科医師
山口祐希
日本矯正歯科学会 認定医

略歴
平成25年3月 鶴見大学歯学部卒業
平成25年3月 歯科医師免許取得(歯科医籍番号第172108号)
平成26年4月 鶴見大学歯学部 歯科矯正学講座入局 臨床専科生
平成27年4月 鶴見大学大学院歯学研究科(矯正学講座)入学
平成31年3月 鶴見大学大学院歯学研究科(矯正学講座)修了
平成31年3月 学位取得(博士(歯学))
平成31年4月~令和2年3月 鶴見大学歯学部附属病院 臨床助手(矯正科)
令和1年10月 日本矯正歯科学会 認定医取得
令和2年4月~ 常盤矯正歯科、多数の病院勤務(フリーランス)
令和7年11月 品川矯正歯科 開業

Back