成人矯正とは
成人矯正とは、永久歯がすべて生え揃い、顎の成長がほぼ完了した13歳前後以降の方を対象とした歯列矯正治療です。
小児矯正(1期治療)で行うような顎の成長誘導ではなく、歯の位置を正確にコントロールして噛み合わせと歯並びを整えることを目的とします。
この段階の治療は「2期治療(本格矯正)」とも呼ばれ、ワイヤー矯正やマウスピース型矯正などの装置を用いて、より精密な仕上がりを目指します。
近年では20代〜50代以降まで、幅広い年代の方が治療を受けており、歯と歯ぐきの健康状態が良ければ年齢に関係なく矯正は可能です。
メリット・デメリット
メリット
審美的な改善
成人矯正の最大のメリットのひとつは、歯並びや口元の印象が良くなることです。
また、横顔のEラインや笑顔のバランスが自然に整い、清潔感や若々しさの印象を与えます。
機能的な改善
噛み合わせや咀嚼機能の改善も成人矯正の大きな目的です。
咬合バランスが整うことで、特定の歯にかかる負担を減らし、将来的な歯の摩耗・歯周病・顎関節への負担を軽減できます。
結果として、歯の寿命を延ばし、長く自分の歯で食事を楽しむことにつながります。
心理的な改善
歯並びのコンプレックスが解消されることで、自分に自信が持てるようになり、人前で自然に話したり笑ったりできるようになる方も多くいます。
ビジネスやプライベートの場面でも印象が変わり、心理的なストレスの軽減にもつながります。
「見た目」だけでなく、自己肯定感や社会的な自信の回復という点でも大きな意義があります。
デメリット
- 治療期間が1年半〜3年程度と長くなる場合がある
- 装置による違和感や痛み、発音の変化が一時的に生じることがある
- 費用は原則自由診療(保険適用外)となる
- 治療後の保定管理を怠ると、後戻りが起こる可能性がある
治療法の選択肢
矯正治療には、目的や症状に応じてさまざまな治療法があります。
大きく分けると、矯正単独で行う「矯正治療」と、外科手術を併用して行う「外科矯正治療」の2つがあります。
さらに、使用する装置や治療範囲によっても分類されます。
治療法の分類
矯正治療
(歯の移動による改善)
歯を動かすことで、歯並びや噛み合わせを整える一般的な治療法です。
軽度〜中等度の不正咬合が対象となります。
外科的矯正治療
(外科手術を併用する矯正)
骨格的なズレが大きい場合は、矯正治療に加えて顎の骨の位置を外科手術で整えることがあります。
顎変形症などが対象となり、保険適用となるケースもあります。
| 内容 | 適応(不正咬合の度合い) | |
|---|---|---|
| 矯正治療 | 歯の位置を移動させて、歯並びや噛み合わせを整える治療。 | ★☆☆☆☆〜★★★★☆ (軽度〜中等度) |
| 外科的矯正治療 | 顎の骨格的なずれを手術で改善し、 矯正治療を併用して歯列を整える治療。 |
★★★★★ (重度の骨格性不正咬合) |
装置の種類
ワイヤー矯正
- 表側矯正
(ラビアル) - 歯の表面に装置を装着。治療の自由度が高く、幅広い症例に対応。
- 舌側矯正
(リンガル/裏側矯正) - 歯の裏側に装置を装着。見た目に配慮しつつ、精密な治療が可能。
アライナー矯正
(マウスピース型)
- インビザライン
- 世界的に普及しているマウスピース型矯正。
精密な3Dシミュレーションが可能。
- エンジェルアライナー
- アジア人の歯列や顎形態に適した設計。短期間でのステップ変更が可能。
- インハウスアライナー
- 院内3Dプリンターで作製するオーダーメイド型。
柔軟な調整とスピーディな対応が可能。
| 分類 | 装置名 | 特徴 | 見た目の目立ちにくさ |
|---|---|---|---|
| ワイヤー矯正 | 表側矯正(ラビアル) | 歯の表面に装置を装着する一般的な方法。 精密な歯の移動が可能。 |
★★★☆☆ |
| 舌側矯正(リンガル/裏側矯正) | 歯の裏側に装置を装着。 見た目に配慮しつつ、機能的に整えることが可能。 |
★★★★★ | |
| アライナー矯正 (マウスピース型) |
インビザライン | 透明なマウスピースを段階的に交換。 3Dシミュレーション対応。 |
★★★★☆ |
| エンジェルアライナー | アジア人の顎形態に特化。 短いサイクルで交換でき、柔軟に調整可能。 |
★★★★☆ | |
| インハウスアライナー | 院内で作製するオーダーメイド型マウスピース。 スピーディに対応可能。 |
★★★★☆ |
治療範囲の違い
全額矯正
上下の歯全体を対象に、咬合・バランスを総合的に整える治療。
部分矯正
前歯3-3など限られた範囲を対象とし、
軽度なズレや審美改善を目的とする治療。
| 内容 | 特徴 | |
|---|---|---|
| 全額矯正 | 上下すべての歯を動かし、咬合を総合的に整える。 | 機能性と審美性を両立。 |
| 部分矯正 | 前歯など限られた範囲を整える。 | 短期間・低負担で行える。審美改善が中心。 |
成人矯正に関するよくある質問
成人になってからでも矯正はできますか?
はい、可能です。
矯正治療は歯と歯ぐきが健康であれば、年齢に関係なく始められます。近年では40代・50代以降で矯正を始める方も多く、噛み合わせの改善や歯の長期的な健康維持を目的に選ばれています。
治療期間はどのくらいかかりますか?
歯の動き方や症例の難易度によりますが、おおむね1年半〜3年程度が目安です。部分矯正の場合は数か月〜1年ほどで完了するケースもあります。
痛みはありますか?
装置を装着して数日は、歯が動き始めることによる軽い痛みや違和感を感じる場合があります。
ただし、最近の矯正装置は弱い力で少しずつ歯を動かす設計になっており、従来よりも痛みは軽減されています。
抜歯が必要になるのはどんな場合ですか?
歯のサイズや顎の大きさのバランス、口元の突出感などを考慮して判断します。
スペースが不足していたり、咬合を整えるために必要な場合のみ抜歯を行います。むやみに抜歯することはありません。
矯正中でも虫歯や歯周病の治療はできますか?
はい、可能です。
矯正中も通常どおり歯科治療を受けられます。当院では矯正治療と一般歯科の連携体制を整えており、治療中の口腔トラブルにも迅速に対応します。
治療後に歯が戻ってしまうことはありますか?
矯正後は、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐため、保定装置(リテーナー)を一定期間使用します。
しっかりと保定を行えば、きれいな歯並びを長く維持できます。
費用はどのくらいかかりますか?
装置の種類や治療内容によって異なりますが、全額矯正でおよそ80〜130万円程度が目安です(自由診療)。
部分矯正やマウスピース矯正はもう少し費用を抑えられる場合もあります。
分割払いはできますか?
はい、可能です。
当院では院内分割やデンタルローンなど、無利息・柔軟な支払い方法を用意しています。治療費が理由で治療を諦めることがないよう、サポートしています。