ピエゾシジョンとは?矯正治療を加速する低侵襲な補助外科処置
近年、成人矯正の増加とともに
「できるだけ治療期間を短くしたい」
「外科処置は最小限にしたい」
というご相談が増えています。
そのようなニーズに応える方法の一つが、ピエゾシジョン(Piezocision)です。
この記事では、矯正専門医院の視点から、
を、専門用語をかみ砕きながら詳しく解説します。

目次
ピエゾシジョンとは?
ピエゾシジョンとは、超音波(ピエゾサージェリー)を用いて歯槽骨の表層(皮質骨)にごく小さな切れ込みを入れる処置です。
最小限の外科的刺激によって歯が動きやすい状態を一時的に作ることを目的としています。
従来の「骨をしっかり削る」外科処置とは異なり、
低侵襲・安全性・回復の早さを重視した方法として注目されています。
なぜ歯の移動が早くなるのか?(RAPの仕組み)
ピエゾシジョンの鍵となるのが、
RAP(Regional Acceleratory Phenomenon:局所的加速現象)です。
骨は、外科的刺激が加わると一時的に代謝が活発になります。
- 骨の吸収と再生が促進される
- 骨が一時的に「柔らかい状態」になる
- 歯が移動しやすくなる
この状態が数か月間続くことで、
矯正治療中の歯の移動スピードが高まります。
ピエゾシジョンは、
必要最小限の刺激でこのRAPを誘導する方法といえます。
ピエゾシジョンの最大の特徴:超音波による選択的切削
ピエゾシジョンで使用される「ピエゾサージェリー」は、
超音波振動を利用した骨切削装置です。
安全性が高い理由
そのため、
- 歯根損傷のリスクが低い
- 周囲組織へのダメージが少ない
- 術後の腫れや痛みが比較的軽い
といった利点があります。
矯正治療では、歯根や歯槽骨の状態を守ることが非常に重要です。
ピエゾシジョンは、その点で非常に相性の良い方法です。
処置の流れ(一般的な例)
- 術前診査・CTによる骨と歯根位置の確認
- 局所麻酔
- 歯肉に数mm程度の小切開
- ピエゾチップで皮質骨に微細な切れ込み
- 縫合(不要または最小限)
- 矯正治療の継続・加速
処置時間は比較的短く、外来で対応可能なケースがほとんどです。
他の加速矯正との違い
矯正治療を加速させる方法には、いくつか種類があります。
コルチシジョン
- メスなどで歯肉越しに骨へ切れ込み
- 低侵襲だが、コントロール性はやや低い
コルチコトミー
- 歯肉を切開し、骨を直接削る
- 効果は強いが侵襲が大きい
- 骨造成を併用することもある
ピエゾシジョン
- 超音波で精密に骨へ刺激
- 侵襲と効果のバランスが良い
- 安全性・コントロール性が高い
👉 「コルチコトミーほど大がかりにはしたくないが、確実に加速したい」
そんな症例で選択されることが多い方法です。
ピエゾシジョンが適している症例
一方で、
- 大きな歯の移動量が必要な症例
- 歯槽骨の限界を超える移動が想定される症例
では、他の治療法が適することもあります。
デメリット・注意点
ピエゾシジョンは万能ではありません。
- 効果は一時的(数か月程度)
- 治療期間が必ず半分になるわけではない
- 適切な診断なしに行うとリスクがある
- すべての症例に必要な処置ではない
そのため、
矯正専門医院で行う意味
ピエゾシジョンは、
「やれば早くなる処置」ではありません。
これらを総合的に判断したうえで、
必要な場合にのみ適切に行うことが重要です。
矯正専門医院では、
こうした判断を専門的に行いながら、
歯と骨の安全性を最優先に治療を進めます。
まとめ
ピエゾシジョンは、
- 低侵襲
- 高い安全性
- 精密なコントロール
を兼ね備えた、現代的な加速矯正の選択肢です。
「できるだけ負担を抑えながら、
効率よく矯正治療を進めたい」
そのような方にとって、有効な方法となる場合があります。
ただし、すべての方に必要な処置ではありません。
一人ひとりの歯・骨の状態を正確に診断したうえで、最適な治療方法を選択することが何より大切です。
院長が若かりし頃に実際ピエゾシジョンを受けてる様子をお見せします。
まず局所麻酔をします。

先端が細い器具で患部をマーキングします。

メスで歯肉を切開していきます。

骨に切れ込みを入れていきます。

超音波で精密に骨へ刺激を与えます。

この後縫合をして終わりです。