ナゾラビアル角とは?
矯正治療を検討されている方から、
「歯並びはきれいになったけど、口元が下がりすぎた」
「横顔の印象が変わってしまわないか不安」
というご相談を受けることがあります。
実は、横顔の美しさを評価するうえで、歯並びと同じくらい重要な指標の一つが
「ナゾラビアル角(nasolabial angle)」です。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、
この角度は矯正治療の結果を大きく左右する要素であり、
専門的な矯正診断では必ずチェックされる重要なポイントです。

この記事では、
- ナゾラビアル角とは何か
- なぜ矯正治療と関係が深いのか
- ナゾラビアル角が崩れると何が起こるのか
- 矯正認定医がどのように考えて治療計画を立てているのか
を、できるだけ分かりやすく解説します。
目次
ナゾラビアル角とは何か?
ナゾラビアル角(nasolabial angle)とは、
鼻の下(鼻柱)と上唇が作る角度のことを指します。

正確には、
- 鼻柱の下縁(鼻の穴の下あたり)
- 上唇の前方線
この2つが交わってできる角度です。
なぜこの角度が大切なのか?
人の顔は、正面だけでなく横顔(側貌)の印象がとても重要です。
特に口元は、
- 出て見える
- 引っ込みすぎて見える
- 年齢より老けて見える
- 不自然に見える
といった印象を左右します。
ナゾラビアル角は、
「口元が前に出ているか」「引っ込みすぎていないか」を
客観的に評価できる指標の一つです。
ナゾラビアル角の理想的な角度
一般的に言われている目安は、
- 約90〜110度前後
ただし、これはあくまで平均値であり、
- 性別
- 骨格(上顎の位置・形)
- 鼻の高さ
- 唇の厚み
によって「美しく見える角度」は変わります。
そのため、矯正治療では
単に角度の数値だけを見ることはありません。
重要なのは、
その人の顔立ち・骨格・年齢・雰囲気に合っているか
という点です。
矯正治療とナゾラビアル角の深い関係
ではなぜ、ナゾラビアル角が矯正治療と密接に関係するのでしょうか。
理由① 歯の位置は唇を支えている

上の前歯は、上唇を内側から支える役割をしています。
- 前歯を後ろに下げる
→ 上唇の張りが減る
→ ナゾラビアル角は「大きく」なりやすい - 前歯を前に出す
→ 上唇が前に押し出される
→ ナゾラビアル角は「小さく」なりやすい
つまり、
前歯の位置=唇の位置=ナゾラビアル角
という強い連動関係があるのです。
理由② 抜歯矯正では特に影響が出やすい
抜歯を伴う矯正治療では、
前歯を後方へ移動させるスペースを確保します。

このとき、
- どれくらい前歯を下げるのか
- 上下のバランスはどうか
- 上顎骨そのものの位置はどうか
を慎重に考えないと、
- 口元が下がりすぎる
- ナゾラビアル角が不自然に大きくなる
といった結果になることがあります。
そのため、矯正認定医は
「歯を並べるために何mm引っ込めるか」だけでなく、
横顔全体の美しさを常に意識して治療計画を立てています。
ナゾラビアル角が変化しすぎるとどうなる?
ナゾラビアル角が大きくなりすぎた場合
- 口元が引っ込みすぎて見える
- 上唇が薄く見える
- 実年齢より老けた印象になる
- 「以前の方が良かった」と感じる
特に、
- もともと唇が薄い方
- 鼻が高い方
では影響が出やすくなります。

ナゾラビアル角が小さすぎる場合

- 口元が突出して見える
- いわゆる「口ゴボ」印象
- 横顔のバランスが悪く見える
この場合、
歯列だけでなく骨格の問題が影響していることもあります。
矯正認定医が行う「ナゾラビアル角」の評価方法
矯正専門医は、感覚だけで治療を行うわけではありません。
① セファロ分析(頭部X線規格写真)

矯正治療では、
- セファロ(側面規格X線)
- 顔貌写真
を用いて、
- 歯の位置
- 顎の骨格
- 唇と鼻のバランス
を数値と形の両方で分析します。
ナゾラビアル角も、この分析の中で確認します。
② 数値だけに頼らない診断
重要なのは、
「平均値に近づけること」ではなく
「その人にとって自然で美しいか」
当院では、
- 正面顔
- 横顔
- 笑顔
- 会話時の口元
すべてを考慮し、
仕上がりのイメージを共有したうえで治療方針を決定します。

マウスピース矯正でもナゾラビアル角は変わる?

最近は
「マウスピース矯正なら口元が変わらない」と思われる方もいます。
しかし実際には、
どちらでも歯を動かせばナゾラビアル角は変化します。
重要なのは、
- 治療装置の種類
ではなく - 誰が、どのような診断で治療計画を立てるか
です。
「歯並び」だけでなく「顔貌」まで考える矯正治療を
矯正治療のゴールは、
単に歯が一直線に並ぶことではありません。
- 自然な口元
- 横顔の美しさ
- 年齢を重ねても違和感のない顔立ち
これらを含めてこそ、
本当に満足できる矯正治療だと私たちは考えています。
ナゾラビアル角は、その判断材料の一つにすぎませんが、
軽視してはいけない非常に重要なポイントです。
まとめ|ナゾラビアル角を理解すると、矯正の見え方が変わる
- ナゾラビアル角は「鼻と上唇が作る角度」
- 横顔の美しさ・口元の印象を大きく左右する
- 矯正治療、特に前歯の移動と強く関係している
- 数値だけでなく「顔全体との調和」が重要
- 矯正認定医による適切な診断が不可欠
矯正治療をご検討中の方は、
「歯だけを見る矯正」なのか
「顔立ちまで含めて診る矯正」なのか
という視点で医院選びをしてみてください。